Sloanの学生はどんな一週間を送っているのか? ある一年生の一週間のすごし方をまとめてみました。(2003年秋学期)
Monday
朝7時に起床。日本と変わらぬ朝食(納豆・ご飯・味噌汁の3点)を食べる。以前いたテキサスの地方都市では納豆など、とんとお目にかかれなかったことを考えるとありがたいかぎり。ここがボストンで良かったと感謝する一瞬。
8時に家を出てT(ボストンの地下鉄)の駅へ向かう。Kendall駅で地下鉄を降りて地上に向かうと、同じクラスの友達と出会う。さぁ~英語を喋るぞ。
月曜日の一時限目は、15.060 DMD( Data, Models, and Decisions )。理系出身の自分には比較的取り組みやすい科目で、数字を元にビジネス判断を下すといった内容。如何にもMITのビジネススクールらしい授業で、好きな科目のうちのひとつ。
一時限目の後はCoffee breakと呼ばれる休憩時間になっていてcoffeeやteaがTang Lobbyで飲める。ひとしきり友人と先週見た映画の話をした後に図書館で宿題をこなす。
昼食後は、teamのメンバーで明日までの宿題についてdiscussionし、2時半から15.401 Finance Theory Oneを受講。このクラスは殆ど純粋なlecture形式の授業で日本の大学の授業に似ている。この授業も理系出身の自分にはとっつきやすくコールドコールも無いので気楽に受講。
授業が終わった後は、再びTに乗ってアパートへ戻る。夕食後に明日の授業の準備と、友人から持ちかけられた50K competition用のideaについて考えているうちに午前2時になってしまった。メールをチェック後に、日本から持参の布団に入る。あぁ~やっぱり布団が最高・・。
Tuesday
火曜日の一時限目は15.515 Financial Accountingの授業。一般に数字を取り扱う科目はとっつきやすいのだが、Accountingはどうにも苦手だ。授業中不明な点については、TA(teaching assistant)にメールを打つことにする。
二時限目は、15.010 Economic Analysis for Business Decisionsでミクロ経済の知識を生かしながらビジネス上の問題を解決しようとする科目。当初は経済学特有の(ありえない?)前提・仮定のためにその学問の有効性には懐疑的だった私だが、実際学んでみるとかなり面白い。教授も若干27歳で、エネルギッシュに授業をこなす。
授業後に、駅前のFood courtで昼食を友人と食べながら週末のテニスの予定を相談。状態の良いハードコートが、ほぼ使い放題なのが嬉しい。
食事後はmanagerとしてのcommunication技術の洗練を目的とする15.280 Communication for Managersという授業に向かう。英語でのプレゼンや文章の書き方についての授業なので、Non-Nativeにはハードルが高い感は否めないものの、ためにはなる。(度胸がつく?)ただし、コールドコールで突然クラスの前で即興のスピーチをやらなければならないのが生徒の間で恐怖の的になっている。私は随分前に即興スピーチは終わっているので、その出来について心配をする贅沢はもはや無いが・・・。
Communicationの授業が終わった後、特にteam meetingもないのでそのまま帰宅。自宅で明日提出の宿題の見直しをしていると、team mateから宿題の件で質問電話がかかって来た。簡単な説明の後に、明日宿題提出前に最終打ち合わせをすることを約束。
その後、妻と近所のモールへ車で買い物にいく。車の右側通行には馴れたものの、ボストン特有のtraffic circleにはまだまだ注意が必要。また、こちらの人の運転マナー(技術?)は総じて日本より低い印象があり、運転は未だに緊張する。
モールのスーパーでお酒と食料品の買いだめをした。ボストン/ケンブリッジの酒屋ではIDチェック(未成年者の違法飲酒を防ぐため)が厳しいと聞いていたが、一度も聞かれたことがない。それだけ年に見えるということかと、少し気になる。
スーパーでの買い物も、日本のそれと殆ど変わらず、英語の出来ない妻でも全く問題ない。妻と肉屋のオジサンとの会話もそれなりに見える。ちなみに、スーパーで会計後に聞かれる『Paper or Plastic ?』の問いかけの意味が、渡米直後は分からずに戸惑ったものだった。(買い物袋をプラスチック製のバッグにするか紙製のバッグにするか聞いている。)
夕食を食べた後は、英語のヒアリング練習と称してテレビドラマを1時間ほど見た後、明日の授業の予習に取り組む。とにかく読む量が多いので、結局眠りについたのはいつものように、午前2時過ぎになってしまった。
Wednesday
水曜日の授業は、月曜日の時間割と基本的に同じで一時限目にDMD, 四時限目にFinance Theory Iがある。月曜日と違うのは、午後1時からDMDのRecitation(補講)がある点。今週のDMDのクラスで学んだ内容の復習と、DMDの宿題を解くのに必要な解析ソフト(主にExcel付属の解析ツール)の使用方法について教えてもらえる。Recitationの講師はTA(Teaching Assistant), つまり2年生なのだが、DMDのTAは本当に教えるのが上手い!本職のように、冗談を交えながらグイグイと生徒を引っ張っていく。評判を呼んで、他のクラスの1年生もこのRecitationに集まってくるので席の確保が大変だ。
Financeの授業が4時に終わった後は、Organizational ProcessesのProjectのためにteam mateと合流する。このProjectでは実際の企業を対象に、Organizational processesの授業で習った分析ツールを生かしながら、特にその組織の効率性や問題点に注目して探りだして行くことになる。Project遂行に必要な情報については、相手の企業の従業員に聞き取り調査(interview)を行うのだが、このinterviewが面白い。Interviewの最初は、相手もなかなか本音を明らかにしてくれないが、時間が経つにつれ本音や会社への不満が漏れ始め、そして一様にinterview終了後は晴れ晴れとした顔になっていく。愚痴を聞いてあげることで相手の負の感情が浄化されていくようにも思える。また、相手が晴れ晴れとしていくのを見て、こちら側もとても良い行いをしているかのようで、すがすがしい気分になる。不思議なprocessだ。Interviewを終えて、ひときしり今日のinterviewの成果についてteam mateと語り合いながら帰路につく。
帰宅後は、interview議事録を作り終えてteamにメールで転送。その後、明日の準備が早く終わったので、アパートのジムで汗を流す。やはり運動は気持ちがいい!
Thursday
午後の授業がCommunication for Managersではなく15.311 Organizational Processesとなる点を除けば、基本的には火曜日と同じスケジュールになっている。Organizational Processesの教授は非常にエネルギッシュでケースも面白く、授業中のdiscussionはいつも白熱する。授業を受ける前は組織論という名前から、勝手に面白みのない無機的な授業を想像していたが、取り扱うケースの全てが人間くさくてドロドロとしている。自分自身の経験を振り返ってみても、『なるほど!』と思わされる教授やクラスメートのコメントが多くためになる。
授業が全て終わった後は、FYC(First Year Challenge)という今年から始まったProjectについて進捗を報告しあった。FYC Projectでは、とある企業を対象に、その現状の分析と戦略を纏め上げるというProjectになっている(2003年度の対象はMerck. Co)。Project開始当時は、それぞれ好き勝手な方向に突っ走りがちだったteam mateも、最近はようやくまとまる気配を見せてきた。各自収集したデータを基に自分の考えを述べ、最後にProjectの方針と戦略について確認後、帰路につく。
一度帰宅後、Sloanの主催するC-functionという毎週恒例のpartyに妻と参加。今週のC-functionはSouthern Asiaがテーマで、カレーを中心とする料理ときらびやかな民族衣装をまとった生徒によるファッションショーを存分に楽しむことができた。
帰宅後は明日提出の宿題に取り組んだ後、自分の担当projectについての調査を終えて就寝。
Friday
金曜日は、午前中に就職を目的としたSloanの就職部による説明会があり、その後はFinance とEconomicsのRecitationがあるのみ。(もちろん時間割によっては金曜日に授業がある生徒もいる。)午後は、週末に遊ぶ時間を確保するために早めに宿題を終わらせることにした。
予想よりも宿題に手間取ったのと、FYC Projectに必要な情報が見つからなかったために、ついつい予定よりも長く図書館で費やしてしまった。急いで帰宅して、妻とソファを買いにPorter Sq.へ。店員の対応もよく気に入ったソファを見つけることが出来て満足。部屋にソファが来れば、クラスの友人を招いて部屋で日本食partyでも開こうかと思う。
帰りに近くの日本食材店へ。Porter Sq.には日本料理屋や食材店、日本の本屋まであり、非常に便利で楽しい。はっきり言ってここには日本のものが殆どある。
パン屋でアンパンを購入して帰宅。夕食時に妻が日本のTVのビデオを見ていたので久しぶりに日本語のTVを見る。何の努力もなく全てが分かってしまう母国語のありがたみを改めて感じた。
Saturday
平日の睡眠不足を補うために、少し遅めに起床。お昼過ぎからMITのテニスコートにてクラスメート達とダブルスを楽しむ。週末なので、体育館脇の駐車場に車が止められるのが便利だ。もう11月も半ばなので、外のコートでテニスが出来るのもあと僅か。(MITにはインドアのテニスコートもある)2ゲーム試合をやって車でアパートまで戻り、夕方まで宿題に取り組む。
夕食は、妻を伴って学校の友人達とHarvard Sq.にあるタイ料理レストランへ。うっ、美味い! 一週間勉強漬けだっただけに、週末の友人との外食は本当に良い息抜きになる。このレストランではアルコールが飲めないのが玉に傷だが、それを補って十分な味のレストランだった。
その後、レストランで偶然出会った別のSloan生徒と共に、近所のデザート専門店へ向かう。ここでデザートワインを飲んでアルコールを補給。熱く(?)先週の授業や来週の飲み会企画について語り合う。アルコールを口にすると、途端に英語が流暢に喋れるような気がするのは何故だろう?
結局、平日よりも遅い時間に寝床にもぐりこむことになってしまった。
Sunday
同じく少し遅めに起床。昨日は昼と夜に外出したので、今日は宿題の残りと今週の予習を少し早めにやっておくことに決める。それから、FYC projectの締め切りも近いのでそろそろデータを加工して纏めに入らないといけない。
一人部屋にこもってパソコンと向かい合う。時々team mateからFYC Projectの進捗を伝えるメールが入ってきて、皆もがんばっていることが分かる。何とか良いものに仕上げたいものだ。
ざっとやる事を終えた後に、来期に取る選択科目についてあれこれ悩む。興味深い科目がたくさんあって、選択に迷うがEntrepreneurship関連の授業を多く選ぶことにした。来期が今から楽しみだ。明日から一週間の予定をざっと確認した後に、布団へ向かう。さぁ、今週も頑張るぞ!